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 今年4月1日から結核予防法が一部改定され、ツベルクリン反応(ツ反)検査をせずにBCGを接種することになります。結核は一時に比べると随分減少していますが、社会情勢の変化によって再び蔓延する可能性があります。発展途上国からの入国者が増えること、ホームレスなど結核検診を受けていない人が多くなること、エイズの増加など免疫機能の低下した人が多くなることなどによって将来結核は増加する恐れがあります。

 結核に感染して1~2ヵ月するとツ反が陽転します。これは結核菌の感染が成立した証拠です。この時点でレントゲン検査やCT検査で異常が見つかれば結核を発病したとして治療を行います。ツ反が陽転していても発病していない場合、乳幼児では抗結核薬を内服して発病を予防する必要があります。これは乳幼児の免疫が弱くて感染すると発病する危険性が高く、発病すれば重症の結核になりやすいためです。家族が発病した場合には定期検診を行い発病の有無を厳重に監視する必要があります。

 今年4月からはツ反をせずにBCG接種を行うようになりましたから、注意しておかなければツ反自然陽転の乳児を発見する機会を逃してしまう可能性があります。このため結核にかかる前にBCG接種を行う必要性がより高くなったのです。ただ新生児などのようにあまり早期の予防接種では子どもに免疫不全など予防接種による強い副反応を起こす危険性の有無を予測することが難しい場合があり、早期のBCG接種に危惧する意見もあります。したがって今後のBCG接種は今まで以上に十分な問診を尽くすことや、確実な手技で結核に対する免疫が出来るように小児科専門医がBCGを行うことが求められます。

 現在、乳幼児に対するツ反の実施率は非常に高いとされますが、これは4歳までに実施された数字で、6ヵ月までに実施されたものは50.3%、1歳までは80.5%となっています。今年4月からのBCG接種を生後6ヵ月までのほとんどの乳児に行うためには大変な努力をする必要があると考えられます。

2005年3月22日掲載

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