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県民の皆さまへ

 今年の春、全国的に麻疹が流行して大きな話題になりました。最近では医者の中にも麻疹を診たことがない人が多い時代になりましたが、少し前までは麻疹は誰でもかかる病気として恐れられていました。今月は麻疹についてお話したいと思います。

 以前は誰でも一生に一度は麻疹にかかると考えられていました。誰でもかかるのは、麻疹ウイルスの伝染力が大変強いためです。ある地域に麻疹患者が発生すると、その地域で免疫のない人はほとんど麻疹にかかります。ワクチンのない時代に麻疹にかからないのは麻疹にかかったことのある人か、母親からの移行抗体が残っている乳児に限られました。

 麻疹は数年ごとに流行していました。これは麻疹が流行すると、免疫を持たない人はほとんどが麻疹にかかり、その周辺では麻疹の免疫を持った人ばかりになり、麻疹の流行は終わります。その後数年経つと免疫を持たない子どもたちが増えて再び麻疹が流行します。このような繰り返しが続いてきました。

 しかし麻疹ワクチンが普及してからは、以前のような数年ごとの流行は見られなくなりました。ただし社会全体に麻疹の免疫を持たない人の数が増えてくると、時として麻疹が流行することがあります。

 従来、麻疹は1歳前後の乳児に多いものでしたが、最近の麻疹は20歳前後の成人に多く発生しています。

 成人麻疹は麻疹ワクチンが普及してきたころに乳幼児期を送った世代です。この中にはワクチンを接種せずに麻疹にかからなかった人、ワクチンは接種したが免疫ができなかった人、一度獲得したワクチンによる免疫が低下した人などです。

 またワクチン接種後に免疫が少し残る状態で発病する麻疹は典型的な症状がなく、正しい診断が遅れることがあります。さらに成人は行動範囲が広く麻疹にかかっても潜伏期間や病初期に仕事や旅行などに出歩くことで、麻疹ウイルスをまき散らすことがありますから注意が必要です。

2007年10月10日掲載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.