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 インフルエンザの潜伏期間は1~2日と短いために流行が始まると一度に大勢の患者さんが発生することになります。とくにウィルスに対する免疫を持たない子どもたちが集団生活を送る学校、幼稚園、保育園などでは大流行になる可能性があります。インフルエンザを予防するためにはワクチンが第一です。ワクチンを受けていてもインフルエンザにかかる人もいますが小児でも20~40%は有効だとされます。毎年ワクチンを受けることによって集団としての免疫を高めておくことが大切です。今回はインフルエンザの一般症状についてお話しします。

 インフルエンザは悪寒をともなう急激な発熱で発病します。発熱した後に咳や鼻水、のどの痛み、頭痛、関節痛、全身倦怠(けいたい)感などが出現します。嘔吐や下痢などの消化器症状も多く見られます。子どもでは急激な発熱にともなってけいれんを起こすこともあります。インフルエンザにかかると基礎疾患や慢性疾患を持つ人はそれらの症状が重くなることがあります。とくに呼吸器系の合併症として肺炎や気管支炎が、耳鼻科的な合併症として中耳炎などが多く見られます。また脳炎・脳症と言われる神経系の合併症には特に注意が必要です。以前は熱が出ると解熱剤を投与することが一般的でしたが、解熱剤の一部が脳症の発生に関与していることが明らかになって、その使用が控えられるようになると、以前よりも脳症の発生は減少していると言われます。さまざまな疾患で日常的に薬剤を服用している人は高熱が出ると薬剤の代謝過程が影響を受けることによって薬剤の副作用が出やすくなることがあります。また食欲低下や嘔吐などのために脱水症を起こしやすくなります。

 体力や抵抗力のない乳幼児や基礎疾患を持つ人たちはとくに注意が必要です。体力を落とさないようにするには栄養や睡眠を十分にとること、外出先から帰ったときには必ずうがいと手洗いをしてのどや手指に付着したウィルスを体内に侵入させないようにすることです。心理的なストレスや肉体的な疲労は免疫力を低下させます。規則正しい日常生活を送ることが最も大切だと考えられます。

2004年12月21日掲載

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