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 現在ポリオワクチンは生後3カ月から90カ月の間(標準は生後3カ月以上18カ月未満)に6週間以上の間隔をおいて2回、多くは集団で経口投与されています。このワクチンには1、2、3型の3種類の弱毒ポリオウイルスが含まれます。3種類のポリオに対して1回服用では3種類全部に対する免疫はできません。1回目に免疫のできなかった型のウイルスでも2回目を服用することによって免疫が成立します。

 ワクチンは6週間以上あけて投与することになっていますが、この間隔は長くなっても免疫のでき方に差はありません。ワクチン投与時に下痢症にかかっているとワクチンを投与しても下痢のためにワクチンウイルスが排出されてしまうことや、下痢症を起こすウイルスとの干渉作用のためにワクチンウイルスが腸管で増殖できずに免疫ができなくなることがあります。

 ワクチン服用直後に嘔吐した場合にはウイルスが腸管で増殖することはできませんから再投与を受ける必要があります。

 現在使用されているワクチンは大変すぐれているので、2回投与で1型、2型ともに95%以上の抗体獲得率を示します。3型でも80%以上抗体を獲得するとされます。しかし、この抗体獲得率を100%近くにするには4回以上服用することが必要だと言われています。現在、生ワクチンを使用している多くの国では4回投与をしています。

 わが国では2回投与でポリオが根絶されたために、従来どおりの2回投与を続けています。しかし2回投与を続けてきたために抗体獲得率の低い年代があることがわかってきました。それが1970~1972年生まれの人たちです。現在、日本には野生のポリオはありませんが、まれに子どもに投与したポリオワクチンのウイルスが野生化して、神経毒性を獲得することによって、ワクチンを受けた子どもやその周囲の人が発病することがあります。

 したがって、免疫の低い可能性のある人は、子どもがポリオを服用する時に一緒に免疫をつけておいたほうが安全です。

2006年8月15日掲載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.