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 朝起きられない子どもたちが増えています。さらに大人も子どもも睡眠時間が昔より随分短くなったと言われます。睡眠は大切な生理機能ですから、睡眠時間の減少や夜更かしが子どもたちのからだに大きな影響を及ぼしていることがうかがわれます。今月は子どもだけでなく大人にとっても大切な睡眠の役割について考えてみました。

 朝起きられない子どもたちの最大の原因は夜更かしです。どの家庭にもテレビやビデオ、パソコンが普及し、コンビニや外食産業など終夜営業の店が増加したことで、私たちの生活は夜型になってきました。多くの子どもたちがテレビやパソコンの画面を見つめて夜更かししています。昔の農業中心の社会とは生活様式が大きく変化してきました。

 社会生活の変化の結果、大人の社会でも睡眠リズムの異常や睡眠時間の短縮が見られます。それに引きずられるように子どもたちの睡眠パターンも夜型に変化しています。夜型の生活は夜更かしにつながり、睡眠不足を生じますが、朝寝坊することでこの不足した睡眠時間を取り戻すことはできません。これは夜の睡眠と朝の睡眠とでは質的に異なるからです。

 それでも多くの子どもたちは、朝眠い目をこすりながら必死で起きて学校に通います。時には朝寝坊して遅刻することもあります。ところが中にはまったく朝起きることができなくなり、徐々に昼夜が逆転し、その結果昼間の学校生活からだんだん遠ざかっていく子どもがあります。不登校の子どもの中にはこのような睡眠・覚醒リズムの障害を示す子どもがいるのです。

 私たちのからだの中にある体内時計は毎日決まった時間に寝たり起きたりすることによって時計合わせをしているのです。1日は24時間ですが、体内時計の1日は約25時間になっています。毎日、時間合わせをしていなければ体内時計と環境の時間にずれが生じて、環境に適応できなくなります。

 体内時計を環境時間に合わせて夜に良い睡眠をとるためには、朝の太陽光線をいっぱい浴びることと昼間にからだをしっかり動かして活動することが大切です。

2006年9月12日掲載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.