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県民の皆さまへ

 赤ちゃんが生まれるまでは、ほとんどの人が母乳で育てたいと思っています。ところが実際に授乳を始めてみるとなかなか思うようにすすみません。今月は母乳育児の大切さとその支援についてお話します。

 母乳による育児は本能ではありません。母乳育児は他の母親が授乳する姿を見て学習して習得するものなのです。したがって現代のように周囲の女性が授乳する姿を見る機会がほとんどない社会で育った子どもが母親になってすぐ上手に授乳できるとは限りません。このような社会では出産した女性に母乳育児の具体的な方法を教えて母乳育児を支援することが必要になります。

 母親が赤ちゃんに母乳をうまく飲ますことができるようになると、育児そのものに自信がつき育児における満足感や幸福感が得られるようになります。母乳育児ができるようになると、その他の育児の基本的な技術も身につき、赤ちゃんの出すサインを自然に読み取る能力を獲得することができます。その結果、育児不安が軽減されることになるわけです。

 母乳育児の利点については、これまでの研究で死亡率や病気にかかる率が低くなることが明らかにされています。もし母乳をやめて人工乳にした場合にアレルギーや湿疹(しっしん)が2~7倍、中耳炎が3倍、胃腸炎が3倍、髄膜炎が3.8倍、尿路感染症が2.6~5.5倍、?型糖尿病が2.4倍、乳幼児突然死症候群が2倍、肺炎・下気道感染症が1.7~5倍、炎症性腸疾患が1.5~1.9倍、ホジキン病が1~6.7倍になると言われます。

 母乳育児をすすめるのは、母乳が赤ちゃんにとってもっとも適した食べ物であるばかりでなく、保健・栄養・免疫・発達・心理・社会・経済・環境などさまざまな面から大きな利益をもたらすからです。

2007年4月10日掲載

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