徳島県医師会 トップページへ

  • 文字サイズ標準
  • 文字サイズ拡大
文字サイズ変更について
県民の皆さまへ

 子どものけいれんの中でもっとも多いのは熱性けいれんです。しかし私たち小児科医がけいれん発作を実際に観察する機会はほとんどありません。したがって具体的な発作の状態を知り、熱性けいれんを正確に分類するためには、実際に発作を見ていた人の話を詳しく聞く必要があります。

 熱性けいれんの中でも単純性熱性けいれんは自然に治りますから、放置しても大丈夫です。

 単純性熱性けいれんの診断には、家族にてんかんなどの遺伝的な素因がないこと、分娩(ぶんべん)時の異常や他に脳障害などの原因になる病気がないこと、発作の持続時間20分以下であること、けいれんは左右対称であること、発作終了後に持続する意識障害や片麻痺(まひ)がないこと、明らかな神経症状や知的・運動の発達障害がないこと、発作24時間以内に反復することがないこと、などを確認します。

 これに対して持続時間が長いもの、片側だけにけいれんが見られるもの、24時間以内に繰り返して発生するもの、けいれん後に麻痺などの神経症状を残すものなどは複合型熱性けいれんとして区別されます。

 複合型熱性けいれんの中には神経系に基礎疾患を持つものや発達障害を持つものがあります。これらは熱性けいれんをきっかけに発見されることがあります。

 そこで詳しい検査を必要とするのです。家族の遺伝的な素因や血液・尿などの検査、脳の画像診断、脳波検査などでてんかんや基礎疾患の有無を調べます。

 このような検査をしても100%原因が確定できるとは限りません。そこで複合型熱性けいれんである場合には慎重に経過観察を行う必要があるのです。

 さらに複合型熱性けいれんは予防の対象になります。けいれんを繰り返すことや長く続くけいれん発作による全身組織におよぼす障害を予防する必要があるのです。

2007年6月20日掲載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.