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【質問】小児アレルギーの孫が心配

3歳の孫の小児アレルギーについて相談します。孫はハウスダストの数値が250あり、いつ発作が起きてもおかしくない状態です。ヒューヒューと音がするような湿った咳(せき)もよくしており、気管支を広げる薬を服用しています。数値を下げたり症状を抑えたりするための対策を教えてください。また、悪化するとぜんそくになることもあるのでしょうか? 他の疾患との関連性も教えてください。

 山田こどもクリニック  山田進一 先生

 【答え】ダニ・たばこの煙対策 必要

 ハウスダストとは室内塵(じん)(部屋にあるほこりやちり)のことで、アレルギーを引き起こすアレルゲンが混合した物です。そのほとんどはチリダニで、ダニアレルギーとほぼ同じです。

 息をするときにヒューヒューやゼロゼロと音がすることを「喘鳴(ぜんめい)」といい、喘鳴には「鼻性喘鳴」と「下気道性喘鳴」があります。気管支を広げる薬が効かず、鼻水を取って良くなるのが鼻性喘鳴。気管支を広げる薬が効果のある場合は、下気道性喘鳴の可能性が高く、お孫さんは下気道性喘鳴のようです。

 2、3歳までに風邪などを引いたとき、下気道性喘鳴を繰り返すのはウイルスに対して「気管支が弱い体質」のためです。ウイルスが下気道(気管支)に入ると、気管支粘膜が腫れて分泌物がたまり、空気の通り道が狭くなって喘鳴を起こします。気管支が弱い体質はずっと続くものではなく、成長とともに免疫が付き、小学校低学年までにほとんどは治っていきます。

 この体質にアレルギー体質が加わると、気管支ぜんそくを発症します。体質自体は成長すると治りますが、気管支の強化が妨げられると喘鳴が続き、気管支ぜんそくに移行してしまいます。

 気管支が強くなることを妨げるのが強いアレルギーです。例えば、ダニにアレルギーがあると、ダニを吸い込んだときに粘膜に炎症が起こります。炎症を繰り返すと正常な粘膜が減り、異物を追い出す機能を果たせなくなります。粘膜の機能が落ちると気道がいろんな刺激(煙や乾いた空気など)に反応して狭くなり、息苦しくなります。これが気管支ぜんそくです。

 気管支ぜんそくの発症に影響するものには、ダニやハウスダスト、ペット、たばこの煙、ウイルス感染があります。中でもダニとたばこの煙には十分な対策が必要です。

 お孫さんはハウスダストの数値が高いので、しっかりとダニ対策をする必要があります。掃除のほか、▽掃除しやすいように部屋の物を減らす▽カーペットやじゅうたん、布製ソファを除く▽寝室にぬいぐるみを置かない-などダニがすみにくい環境づくりがポイントです。

 また、喫煙者が家にいると、ぜんそくの発症が7~10倍程度増えるとの研究があり、受動喫煙を避けることが重要です。換気扇の下で吸っても、子どもがいない部屋で吸っても、たばこの臭いが残っていたら影響があります。できれば家族の方は禁煙するのが望ましいでしょう。

 また、皮膚に湿疹ができると、その部分からアレルギー抗体が盛んに作られ、アレルギー体質を改善しにくくなります。できるだけ湿疹のないすべすべの肌を目指します。正常抗体を作るためには腸内細菌が必要であり、抗生剤の内服を最小限にし、善玉の腸内細菌を増やすことが大切です。ヨーグルトや漬物、阿波晩茶、みそなど発酵食品を取ることを心掛け、必要に応じてサプリメントを利用しましょう。

 喘鳴を繰り返すときには抗アレルギー剤(ロイコトリエン拮抗(きっこう)剤)を使うことで、気管支粘膜のアレルギー炎症を予防できる可能性があります。主治医の先生と相談してください。

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