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県民の皆さまへ

曲がった背中を戻したい
 【質問】70代の女性です。倒れた自転車を起こそうと前にかがんだとき、腰にズキッと痛みが走りました。寝返りができないほどの痛みのため整形外科を受診したところ、骨粗しょう症による圧迫骨折と診断されました。背中が丸くなり、医師の勧めで上半身のコルセットを装着しましたが、2カ月たっても効果がありませんでした。いったん背中が曲がってしまうと、元通りにならないのでしょうか。
  千川隆志 先生  徳島市民病院整形外科 
 手術で真っすぐ固定
 【答え】骨粗しょう症になると骨がもろくなり、背骨の椎体が体の重みを支えきれずにつぶれて圧迫骨折になることがあります。尻もちやくしゃみ、不用意に重いものを持ち上げたときなど、ちょっとしたきっかけで椎体がつぶれることがあります。今回の質問者も、倒れた自転車を起こそうと前にかがんだときに椎体の圧迫骨折が生じたと考えられます。
 骨折したのに痛みを感じない患者さんもいますが、多くの場合は体を動かすと背中や腰が激しく痛みます。安静にしていると痛みは治まり、椎体がつぶれたままの形でも骨癒合(治癒)します。ただし、背骨は曲がったままになり、この状態で生活していると、背骨全体のバランスが崩れて1年以内に次の骨折が発生しやすいという研究結果もあります。
 ギプスやコルセットを装着し、安静と投薬加療(保存治療)をしたにもかかわらず骨癒合しなければ、椎体がぐらぐらと不安定なままで痛みが長引き、手術が必要になります。また、相談の症例のように、骨癒合しても背骨が曲がったままで、元に戻したい場合は、脊椎矯正固定術を受けることになります。
 つぶれた椎体が脊髄を圧迫していない場合は「BKP手術(椎体形成術)」を行います。手術の手順は、骨折した椎体の両側に約1センチの経路を作り、風船(バルーン)の付いた細い管を挿入します。つぶれた骨の中心部で風船を膨らませた後、骨セメントを充填して背骨を矯正します。全身麻酔で行いますが、手術時間は1時間以内で患者の負担が少ない手術です。
 骨折部が破裂骨折に進行して骨片が脊髄を圧迫すると、神経麻痺を改善させるためにつぶれた骨を取り除く「脊椎矯正除圧固定術」が必要です。つぶれた椎体の上下2~3カ所にスクリュー(チタン製のねじ)を挿入し、ロッド(チタン製の棒)で固定して曲がった背骨を真っすぐにします。
 破裂骨折は、第11、12胸椎と第1腰椎で起きやすいのですが、高齢者は骨が弱く、手術する範囲が大きくなる場合もあります。場合によっては胸椎から腰椎、骨盤まで固定が必要なケースもあり、手術時間も出血量も増えます。背骨がきちんと固定されると、背中が真っすぐになり、うつむいて歩かなくて済むようになります。問題は背骨を固定するので、上体を大きく動かすような趣味や仕事、特にかがみこむような動作(雑巾がけ、草むしりなど)ができなくなることです。無理にすると隣接椎間障害が起きるため制限が必要です。
 場合によっては80代の患者さんも前記の手術を受けることができます。術後3カ月は入院が必要で、硬性コルセットを装着して下肢筋力訓練や体幹訓練、歩行訓練に取り組みます。骨癒合を確認できれば、軟性コルセットに切り替えます。  退院後は手術から4、6カ月後、その後は1年ごとに外来でエックス線検査やコンピューター断層撮影(CT)検査を受けてもらいます。症例に応じて、骨粗しょう症の内服加療や、注射も行っています。

 

【写真説明】[上]圧迫骨折になった第1腰椎(矢印)[下]脊椎矯正固定術で背中が真っすぐになるようにロッドを入れて固定
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