徳島県医師会 トップページへ

  • 文字サイズ標準
  • 文字サイズ拡大
文字サイズ変更について
県民の皆さまへ

【質問】小4児童 トイレが近い

 小学4年の女児が、トイレが近くて困っています。用を足してから1時間たたない間に催しているようです。身長はほぼ平均ですが、体重は25キロ足らずで細身です。そのことが関係しているのでしょうか。

 徳島大学泌尿器科 高橋正幸 先生

 【回答】原因さまざま 薬服用も

 頻尿は、あまり膀胱(ぼうこう)に尿がたまっていないのに、尿意を生じるために起こります。一方で、水分摂取量が過剰なために多尿となり、排尿回数が多い場合もあります。おそらく前者の状況と思われます。おねしょも含めて、昼間の頻尿や尿失禁は、膀胱の安定性、膀胱にためられる尿量、精神的な因子、水分摂取量、排尿や排便習慣などさまざまな要素が関係していて、原因を特定することはなかなか困難なことが多いです。

 正常な膀胱機能であれば、最初に尿意が出現しても膀胱の圧が上昇することはありませんが、膀胱が不安定な場合、十分な尿がたまる前に、自分の意思と反して膀胱が収縮し内圧が上昇する、いわゆる過活動膀胱の状態となります。この膀胱の不安定さは、年齢とともに改善していくことが多いですが、体が小さければ、年齢の割に膀胱が未熟な可能性もあるかもしれません。

 また、尿意があっても排尿に行くという習慣が身についておらず、尿意が最大になってからトイレに行こうとして間に合わず、尿が漏れる場合があります。

 排便習慣も非常に重要で、便秘が排尿異常の原因となっていることがあります。3~5日に1回しか排便していないお子さんもいて、本人もご両親もそれが異常だと思っていない場合があります。毎日か、少なくとも2日に1回の排便を確保できるよう、食事内容を工夫したり、場合により便秘薬を内服したりすることも必要です。

 小児昼間頻尿症候群というものもあります。幼児期や学童期に発症し、昼間のみ著しい頻尿をきたしますが、3週間から3カ月で自然治癒します。

 その他の原因として、まれですが、膀胱や尿道を含めた尿路に異常を認める場合や脊髄に異常が見つかることもあります。

 検査には、尿検査、腎・膀胱エコー検査、排尿がスムーズに行えているかを見る尿流計検査、残尿測定などがあります。

 また排尿日誌は、1日の全ての排尿の時間、排尿量、それぞれの排尿時に尿が漏れそうだったか(尿意切迫感)、尿失禁の有無、水分摂取量などを記録するものです。排尿習慣がどうなっているかを把握することができるため、非常に重要です。

 上記のような検査を行い、膀胱にためられる尿量が少なく、尿意切迫感があるだけでしたら、抗コリン薬という、膀胱をリラックスさせるような薬を内服することで、頻尿が改善します。年単位で内服が必要な場合もあります。

 この抗コリン薬は、副作用として便秘が発生する頻度が比較的高いですので、内服前には便秘のコントロールが必要です。便秘は、上述しましたように、それだけでも排尿に悪影響を及ぼしますので、抗コリン薬の内服に関わらず、改善する必要があります。

 排尿習慣が確立していないお子さんにおいては、タイマーなどを用いて、2~3時間ごとに尿意がなくても排尿を行う時間排尿が有用なことがあります。

 また、普段から落ち着きがなく、精神的に安定していない場合には、小児科に相談してもよいかもしれません。

 以上のような経験的な治療によっても改善しない場合には、膀胱尿管逆流症、尿道狭窄(きょうさく)などの疾患を調べるために尿道からカテーテルを挿入して排尿時膀胱尿道造影を行ったり、膀胱の機能を詳しく調べるために膀胱内圧測定検査を行ったりします。

 おねしょもそうですが、昼間の頻尿や尿失禁は、短期間に改善することは難しいため、焦らず、じっくりと検査や治療をしていくことが重要です。

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.