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【質問】 足の爪が変色してはがれる

 50代の主人のことで相談します。かなり前から足の爪(つめ)が変色し、丸くなってボロボロはがれます。先日、友人にたずねると、それは爪水虫で、爪をはがせば治ると言われました。でも主人はセールスマンですので、そうするわけにはいきません。症状は足の指10本全部です。何かよい治療法があれば教えてください。爪水虫は完治するのでしょうか、それとも再びかかる病気なのでしょうか。



【答え】 爪水虫 -飲み薬の服用が有効-

宇都宮皮膚科泌尿器科 副院長 宇都宮 正裕(徳島市吉野本町1丁目)

 ご質問からは、爪水虫(爪白癬=つめはくせん)の可能性が最も高いと考えられます。水虫(白癬)は、皮膚につくかび(真菌)の一種です。

 水虫が一番できやすいのは足で、足の水虫を放置しておくと、近くの爪にうつることがあります。爪にうつると、爪の表面や先端が白っぽくなります。さらに進行すると、爪が厚くなってぼろぼろになり、一部がはがれ落ちることがあります。これが爪水虫です。

 これに緑のう菌などの細菌が着くと、黒っぽく変色します。また厚くなった爪が周りの皮膚に食い込んで、巻き爪の原因にもなります。爪にはかびがたくさんいますから、ほかの皮膚、例えば股や手の皮膚にうつったり、ほかの人に水虫をうつしたりする原因となります。

 このように、爪水虫は足の水虫からうつる場合がほとんどなので、まず足の水虫を治しておくことが大切でしょう。爪水虫が疑われるときは、一部を特殊な液(カセイカリ)で溶かして顕微鏡で見ると、簡単にかびの菌糸が見られますので、専門医に見てもらってください。

 次に爪水虫の治療です。基本は、飲み薬になります。というのは、爪は厚くて硬いので、塗り薬では爪の中までしみ通らず効かないからです。飲み薬には、以前からグリセオフルビンという薬がありましたが、水虫菌をやっつける作用が弱く、長期間(足の爪で1~2年)飲まなければいけないのが欠点でした。しかしここ数年、より強力な薬ができ、3カ月から半年ほどの服用で治るようになりました。

 服用を続けると、水虫の爪を押し上げるように少しずつきれいな爪が根元から出て、治っていきます。ただ、爪の伸びる速度が遅い(めったに爪を切らない)人は、飲み薬の効きが悪く、予定より長期間飲むか、爪を削って塗り薬を塗り、ラップで密封して薬の効きをよくします。

 この新しい飲み薬の副作用の主なものは胃腸障害ですが、以前の薬よりは軽く、また、肝機能障害などもありますが、頻度は低いようです。ただ同時に飲まない方がよい薬がありますので、専門医の指示に従ってください。

 いずれにしても、一度皮膚科専門医の受診をお勧めします。爪は水虫にとって非常に住みやすい場所です。放置しておくと少しずつ爪は水虫の巣となります。

徳島新聞2000年10月1日号より転載

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