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【質問】 昼間眠く我慢できない

 20代の男性です。毎日7時間程度は睡眠をとっているのに、昼間の眠気が我慢できず、移動中や会議中など気が付けば眠っています。睡眠障害には、不眠だけではなく過眠もあると聞きましたが、自分の症状がこれに当たるのではないかと気になっています。寝過ぎるのも病気なのでしょうか。医師の診察を受けたいのですが、何科を受診したらいいのでしょうか。



【回答】 過眠症 -原因究明のための検査を-

ゆうあいホスピタル院長 坂本哲郎(三好郡東みよし町中庄)

 睡眠障害には、不眠症や日中の過度の眠気(EDS)、睡眠時間が長過ぎて朝起きられない過眠症、睡眠覚醒(かくせい)リズム障害、睡眠中に歩いたり叫び声を上げたりといった異常な行動がみられるパラソムニアがあります。

 ご質問の内容から、EDSを主な症状とする過眠症が疑われますので、まず日中の過度の眠気を起こす病気について簡単に説明します。

 日中の眠気には「何となく眠い」という軽度のものから、「会議中や授業中、自動車の運転中に強い眠気を感じ、時に眠り込んでしまう」という中等度のもの、「時刻や場所に関係なく眠ってしまう」という高度のものまで、その程度はさまざまです。軽度から中等度の眠気は誰もが経験するものですが、中等度以上の症状が持続するなら過眠症と診断されます。

 日中の眠気の原因としては▽夜間の睡眠不足の代償として生じるもの▽夜間の睡眠とは直接関係しない睡眠や覚醒を調節する機能に障害があるもの-の2つに大別されます。

 夜間の睡眠不足の代償として生じる過眠には▽睡眠中に繰り返し呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群▽下肢の筋肉が周期的に収縮する周期性四肢運動障害▽寝ようとすると下肢がむずむずして眠ることができないむずむず脚症候群▽慢性的な睡眠不足で起きる睡眠不足症候群-が代表的なものです。

 睡眠不足症候群では、原則的には患者自身は慢性の睡眠不足を自覚しておらず、休日や長期休暇などで睡眠時間が延長されれば日中の眠気は消失します。また、1日に10時間以上の睡眠を必要とする長時間睡眠者が、朝、無理に起きることが続くと睡眠不足症候群を呈することがあります。

 一方、夜間の睡眠とは直接関連しない過眠には、代表的なものとしてナルコレプシー、特発性過眠症、反復性過眠症などがあります。

 ナルコレプシーは、笑ったり驚いたりすると体の力が抜ける情動脱力発作や、入眠時あるいは出眠時の幻覚、いわゆる金縛りといわれる睡眠まひなどがみられます。夜間の睡眠障害を伴うことが多いため、日中の眠気がさらに増強される場合もあります。

 特発性過眠症は頭痛、発汗、冷感など自律神経系の機能不全を示唆する付随症状が多く出ます。また、反復性過眠症は症状発現に周期性があり、大食や性欲亢進(こうしん)などの特異な精神症状を伴うことが多いといわれています。

 このほか、双極性感情障害のうつ病相や季節性感情障害でも、過眠症状を認めることがあります。

 ご質問の内容だけでは、どの原因で過眠症を呈しているのかを判断するのは困難です。過眠症の診断には、睡眠ポリグラフィー検査(PSG)だけではなく、日中の眠気や覚醒度を検査することが必要です。PSGのみで診断できるものもありますが、そうした検査が、より正確な診断の助けにもなります。

 まずは、PSGが可能な医療施設を受診することをお勧めします。

徳島新聞2010年9月12日号より転載

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