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 徳島大学病院産科婦人科 中山聡一朗 先生

 【答え】急激な体重増加 注意

 妊娠中は赤ちゃんだけではなく、胎盤が大きくなったり、羊水の量が増えたりして妊婦さんの体重は増加します。妊娠中の体重増加と出生体重は関連しており、体重増加が多いほど赤ちゃんは大きくなり、体重増加が少ない場合には赤ちゃんは小さくなります。注意が必要なのは、体重増加が多過ぎても少な過ぎても良くないということです。最低限の体重増加がない場合、赤ちゃんに栄養が届かず、赤ちゃんが小さくなってしまいます。

 「小さく産んで大きく育てる」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。以前は体重が増え過ぎると、妊娠高血圧症候群や、赤ちゃんが大きくなり過ぎることによる難産の増加を心配し、体重増加を厳しく制限する傾向にありました。

 しかし近年、小さく産むのが赤ちゃんにとって必ずしも良いことではないことが明らかになってきました。小さく産まれた赤ちゃんの方が、将来的に肥満や糖尿病などの成人病を発症しやすいということが分かってきたのです。これを「成人病胎児期発症説」と言い、胎児期から乳幼児期における栄養環境が、成人期以降の生活習慣病発症に影響するといわれています。子宮の中にいるころから、適度に赤ちゃんに栄養をあげることが大切です。

 産まれてくる赤ちゃんが適度に大きくなることを目標として、体重増加の目安が設定されていますので参考にしてください。目安は妊娠前の体型(BMI)により分けられています<図参照>。妊娠前の体格が標準の場合には、妊娠期間を通じて体重増加の目安は7~12キロ程度とされています。

 さて、質問の方は標準よりも急激に体重が増え過ぎていると思われます。血圧が上がったり、尿タンパクが出たりしていませんか? 急に体重が増える場合、妊娠高血圧症候群が心配です。

 これは血圧が上昇し、腎機能が悪化して尿タンパクが増加する病気です。腎機能悪化により尿が減って、体重増加やむくみとして現れます。週に1キロ以上体重が増える場合は注意が必要です。重症の場合は母児の命に関わることもありますので、早めに主治医の先生の診察を受けてください。

 食事のポイントは<1>体重増加の目標は、妊娠前の体格に応じて設定する<2>バランスの取れた食事を3食きちんと取る<3>間食や塩分の取り過ぎに注意する(妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群の原因となる可能性)-などです。

 妊婦さん自身のためだけではなく、赤ちゃんの将来の健康のためにも、適度の体重増加を目標として、あまり神経質にならずに妊娠中の食生活を楽しんでください。特に痩せている妊婦さんは、赤ちゃんが小さくなる可能性が高いので、赤ちゃんのためにもしっかりと栄養を取ることが大切です。

 

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